2024年度(活動状況)
コンサル年間契約4件,継続技術相談1件,依頼技術相談2件,個別技術相談3件,セミナー3件
依頼講演2件,依頼解説執筆5件,学術論文執筆2件,図書章担当1件,京都大学プロジェクト1件
沿革
2024年 4月 PHTS 活動開始
2010年10月 京都大学大学院工学研究科 教授として, 化学工学専攻に粒子工学研究室を設立
(粉体工学・微粒子工学は産業と密接に関係する。産学共同研究:60件)
1989年 5月 京都大学工学部 助手として,粉体工学の研究に従事
はじめに
粉体は,医薬品,化成品,電子材料,セラミックをはじめとして,原材料,中間製品,最終製品として広く利用されている。粒子を取り扱う産業界は飛躍的な進歩を遂げており,近年の高機能化の要求とファイン化の傾向に合わせて,取り扱う粒子の大きさは,ミクロン・サブミクロン・ナノと小さくなってきた。ナノテクノロジーのひとつとして微粒子の応用にも期待は高まるが,それを実現することは簡単ではない。すなわち,微粒子の挙動に大きく関係する付着・凝集・静電気などの基本的な現象を把握しておかなければ工業化は難しい。
PHTSは,粒子の集合体全般を取り扱う「粉体工学」,粒子の諸現象と密接な関わりをもつ「静電気工学」,気流中の粒子の挙動をコントロールするための「エアロゾル工学」を基礎として,諸現象の解明とその合理的操作・応用に関する技術支援を行う。
取り組み
1. 粒子の帯電の基礎と応用
粒子の接触帯電は,機械的な操作に伴って生じる基礎的な現象であり,静電気力は粒子の挙動に大きく影響するので,帯電の制御は非常に重要である。また,電子写真,乾式粉体塗装,静電分離などのように,帯電粒子を有効に利用した技術の開発も行われている。静電気力を用いると,粒子の分散,凝集,搬送などの操作を遠隔で行えるので,新たな技術展開が可能になる。ただし,これらを実現するには,粒子の帯電機構,帯電量分布の制御,帯電粒子の運動制御,粒子と電荷のオンライン計測の正しい理解が必要である。
(1) 粒子と壁の摩擦帯電の機構の解明
(2) 静電場を利用した遠心接触式帯電制御装置の開発
(3) 振動と外部電場を利用した2段階システムによる摩擦帯電粒子の特性評価
(4) 空気輸送における粒子の摩擦帯電の評価
(5) 粒子の誘導帯電機構の解析
(6) 大気圧低温プラズマによる粒子の帯電
(7) 紫外線照射(光電子放出)による粒子の帯電
2. 粒子の付着および流動性の評価
粒子-粒子間,粒子-壁間相互作用力は,粉体操作に直接影響を及ぼす重要な因子であり,一次粒子および凝集粒子の付着特性の合理的な測定法および摩擦を含めた流動性評価法の開発が必要である。
(1) 各種複合場における付着強度分布の解析(遠心法,振動法,気流法)
(2) 流動性プロファイルの解析(振動細管法,振動せん断流動法)
(3) 定荷重剪断試験と定容積せん断試験による流動性の評価
3. サブミクロン粒子およびナノ粒子のハンドリング
製品の高機能化のために,サブミクロン粒子およびナノ粒子の需要は増えているが,粒子の微小化に伴って付着性は非常に強くなるので,粉体操作は極めて難しい。特に,1ミクロン以下の微粒子の乾式粉体操作の開発が遅れており,微粉体の流動解析とともに,新たな機構を取り入れた装置の開発が急務である。
(1) 多重振動を用いた微粒子の運動制御
(2) 振動剪断流動を利用したナノ粒子の精密定量供給法の開発
(3) 電場における粒子凝集・分散システムの開発
(4) 振動対流機構を用いた流動層の開発
(5) ドライアイス粒子の生成と乾式表面洗浄への応用
科学研究費助成事業
・導体と誘電体を統合する電荷移動モデルの構築と帯電微粒子の状態・運動制御への応用(2017–2019年度)
・粉体の瞬間精密電荷制御を可能にする気相単極イオン抽出法の開発と帯電粒子の運動解析(2014–2016年度)
・仕事関数と電界制御による粒子表面の精密電荷付与と複合場における粒子運動の同時解析(2011–2013年度)
・ 微粒子の精密ハンドリングのための表面電荷制御法の開発(2007–2008年度)
・微小粒子の超高精度分級システムの開発(2002–2004年度)
・多成分系管内固気二相流におけるトリボチャージの多重分布の測定と解析(2001–2003年度)
・ 粒子の衝突帯電における電荷移動プロフィールのマイクロ秒分割による解析(1999–2000年度)
・紛体粒子の静電気帯電特性を解析するシステムの開発(1998–1999年度)
・電子エネルギー差を利用した管内固気二相流の粒子流量計測(1996–1997年度)
・超音波振動毛細管によるサブミクロン粒子の微量定量供給法の開発(1995年度)
・異なる仕事関数を持つ直列検出管による管内固気二相流のオンライン質量流量計測(1994年度)
・静電気現象を利用した微粉体の化学的・力学的物性の同時測定(1990年度)
JIS規格の制定
・JIS Z8845: 2021 遠心法による粒子付着力測定方法(JIS原案作成委員長)
・JIS Z8844: 2019 微小粒子の破壊強度及び変形強度の測定方法(JIS原案作成委員)
・JIS Z8835: 2016 一面せん断試験による限界状態線(CSL)及び壁面崩壊線(WYL)の測定方法(JIS原案作成委員)
プロジェクト
・JST 高度研究人材活用促進事業 「振動による気流発生機構を備えた微粒子移送・反応装置の開発」(2010年度)
・戦略的研究基板形成支援事業「先進微粒子材料の科学と工学の融合」(2009–2013年度)
・独立行政法人日本原子力研究開発機 「構振動細管法による原料粉末流動性評価に関する研究」(2007–2009年度)
・科学技術振興機構 顕在化ステージ「ナノ粒子のプロセス操作端のための精密定量供給装置の開発」(2007–2008年度)
・京都府地域結集型共同研究事業「微粒子プロセシング・ハンドリング技術の開発」(2005–2008年度)
・近畿経済産業局地域創造技術研究開発「サブミクロン精度で加工された超微細部品の形状及びサイズによる連続分級並びに画像処理によるトータル検査システムの開発」(2002年度)
国際オーガナイザー
・XVII ICESP Organizing Committee of the 17th International Conference on Electrostatic Precipitator, Kyoto, Japan (2024/10/21–24)
・Scientific Committee of PARTEC 2023, Nuremberg, Germany (2023/9/26–28)
・Scientific Committee of PARTEC 2019, Nuremberg, Germany (2019/4/9–11)
・ICCCI 2018 Organizing Committee of the Sixth International Conference on the Characterization and Control of Interfaces for High Quality Advanced Materials, Kurashiki (2018/7/9–12)
・Program Area Chair of 8th World Congress on Particle Technology, Orlando, FL, US (2018/4/22–26)
・Vice President of 2016 High Level Academic Symposium on Measurement and Control of Granular Materials MCGM, Beijing, China (2016/11/18–21)
・Organizing Committee of the Fifth International Conference on the Characterization and Control of Interfaces for High Quality Advanced Materials, Kurashiki (2015/7/7–10)
・NEPTIS-23 Nisshin Engineering Particle Technology International Seminar, Tokyo (2014/12/19)
・Vice President of 10th International Conference on Measurement and Control of Granular Materials MCGM, Ximen, China (2014/10/24–26)
・Vice President of 9th International Conference on Measurement and Control of Granular Materials MCGM, Shanghai, China (2011/10/27–29)
・Vice President of 8th International Conference on Measurement and Control of Granular Materials MCGM, Shenyang, China (2009/8/24–26)
・Local Organisation Committee of 3rd International Workshop on Process Tomography (IWPT-3), Tokyo, Japan (2009/4/17–19)
・Programming Committee of 7th International Conference on Measurement and Control of Granular Materials MCGM, Shanghai, China (2006/8/26–28)
・Editing of special issues. Twelfth Nisshin Engineering Particle Technology International Symposium, Chemical Engineering Science, Vol. 61, 2191–2311 (2006)
・Theory and Application of Particle Charging, NEPTIS-XII Nisshin Engineering Particle Technology International Seminar, Awaji (2003/11/30–12. 1)
・Editing of special issues. Electrostatic Phenomena in Particulate Processes, Powder Technology, Vol. 135-136, 1–374 (2003)
海外共同研究先
・英国 リーズ大学 Prof. Mojtaba Ghadiri
・英国 サリー大学 Prof. Mojtaba Ghadiri
・国立シンガポール大学 Prof. Chi-Hwa Wang
・米国 フロリダ大学 Prof. Jennifer Curtis
・中国 華南理工大学 Prof. Yanbin Jiang
博士後期課程学位論文審査(主査)
・定容積せん断試験法による粉体力学特性評価に関する研究
・医薬用粉体の流動性改善法に関する研究
・電場中の粒子帯電に伴う凝集・浮揚・分散に関する研究
・医薬用粉体の流動性評価に関する研究
・二次元振動平板上の微粒子挙動に関する研究
・ドライアイス微粒子の形成プロセスの解析と表面洗浄への応用
博士後期課程学位論文審査(副査)
・Dynamics of a model microswimmer near a liquid-liquid interface
(液液界面近傍におけるモデルマイクロスイマーのダイナミクス)
・Self-Assembly of Colloidal Particles with Controlled Interaction Forces
(相互作用力に基づくコロイド自己集積現象の理解)
・Controlling Adsorption Properties of Metal–Organic Framework Particles through Synthesis Protocols
(精密合成に立脚した多孔性配位錯体微粒子の吸着特性制御)
・ Synthesis of Silver Nanoshells with Controlled Thickness and Morphology
(銀ナノシェルの合成過程におけるシェル厚みと形状制御)
・低品位炭改質プロセスにおける各要素技術のモデル化に関する研究
・金属多孔質焼結体の製造および応用に関する研究
・Direct Numerical Simulation of charged colloids in an oscillating electric field
(振動電場下での荷電コロイド粒子の直接数値シミュレーション)
・Direct Numerical Simulation Studies of Sedimentation of Spherical Particles
(直接数値シミュレーションによる球状粒子の沈降に関する研究)
・ 鉄道車両の滑走防止を目的とした増粘着材噴射・検出システムの開発
・デンドリマーをテンプレートとして用いたナノ粒子合成法に関する研究
・Tribo-Electrification and Associated Segregation of Formulated Bulk Powders